第3章  春のバースデーと初夏のお休み

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「うん。まぁ、なんていうか、原因の本質は、彼女の女子力ウンヌンよりも 二人の結婚観が、かみ合わなかったっていう感じみたい」 そう言った私の目の前で、彼の顔がサッと強張った。 そして、 「ごめんなさい、ナッちゃん。僕、それ知ってました」 トーストを手にしたままでわずかに俯き、おずおずと言う。 だが、そんな彼の姿に、私は淡く微笑んだ。 「そっか。まぁ、響くんのことだから、冠くんにあっけらかんと言ってても 不思議はないもんね。 それに、そうじゃなくても彼は、まだまだ遊びたいタイプだろうし」 しかし、そう言う私の目の前に小さく上目遣いの彼の目が戻ってきて、 「怒ってない?」と聞いてくる。
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