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そうして結局、同僚たちにペコペコと頭を下げて定時にオフィスを出て、
間もなく私は、短く彼にメールを打った。
『リクエストのグラタン作って待ってるね。
でも、ごめん。今朝から始まっちゃった……』
しかし、帰り道でも夕食を作っている間も、珍しく彼からの返信は
送られてこない。
そして、
そんなに、忙しいのかな……。
ふと、少しだけ心配がよぎった時、
「ただいま」
玄関から、嬉々とした彼の声が届いた。
しかも、間もなくキッチンの入り口に現れた彼は、
走って来たのか、少し頬が上気して呼吸も荒い。
そして、
「お帰り。お疲れ様」
そう言う私の目の前に歩み寄ってきた彼は、ちょっとだけ切なげに
眉根を寄せた。
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