第3章  春のバースデーと初夏のお休み

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「でも、まだ予定日じゃ……」 画面に視線を落としたまま、たどたどしく呟かれる。 だから私は、悪くもないのに、やっぱり詫びていた。 「うん、ごめんね。たぶん、このところずっと仕事でテンパってるから、 それで、少し狂ったんだと思う」 そして、目の前の彼の頬を片手で包んで、もう一度「ごめんね」と呟く。 それに彼は、子供のようにかぶりを振ってきた。 「ナッちゃんは、悪くないです。でも僕、ちょっと……」 少し言葉を飲み「もう一回、ギュッてしていい?」と寂しげに尋ねて 頷く私を、そっと抱きしめる。
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