第3章  春のバースデーと初夏のお休み

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そして、 「ナッちゃん」 「ん?」 「好き」 「うん、私も冠くん、好きよ」 「ナッちゃん」 「ん?」 しかし、ここで少し押し黙った彼から淡い吐息が零れてきた。 だから、 「冠くん、すごく間が悪くてごめんね。 でも、ちゃんと、お祝いの用意はしたよ。 だから、ハッピーバースデーしよう?」 しかし、宥めるように言ってみるが、 彼は、まだ押し黙ってじっと私を抱きしめる。 そして、 「うん……」 私の肩に顔を埋めてようやく小さく頷き、 ちょっとだけ残念な彼の誕生日祝いが始まった。
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