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「なんか、全部自社のもので恥ずかしいんだけど、
どうしても冠くんとペアウォッチにしたくて。
思いっきり、社販割引きに頼りました。
それにこのチョコレートも、狭川さんにちょっとワガママ聞いて
もらったしね」
そう話してくれた彼女は、照れ臭そうに小さく舌を出す。
でも、フォルトゥーナの物というだけで、僕には特別なもの。
だから、こんな彼女の気持ちが、素直にすごく嬉しかった。
「ありがとう、ナッちゃん。大事にします」
それに、いつもの様に「フフッ……」と小さく笑ってくれた彼女を
改めて、すごく好きだと思う。
だからこそ僕は、僕の中でどうしても燻る落胆を知られたくはなかった。
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