第3章  春のバースデーと初夏のお休み

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しかし、たぶん彼女は、こんな僕の隠し事などお見通しだったと思う。 それが証拠に、食後に、二人でゆっくりとシャンパンを飲んでいる時、 彼女は、間近に迫ったゴールデン・ウィークの話をこう切り出してきた。 「あのね、今回は安奈ちゃんが、すごく協力してくれて。 私は、飛び石になる連休前半の出勤にしてもらえたの。 だから、後半の四日間のお休みは、ずっと冠くんと一緒。 今日、出来なくなっちゃった分、一日、仲良くしてもいいし、 冠くんが好きなようにして過ごそう?」 そんな彼女の気持ちは、すごく嬉しい。 けれど同時に、すごく自分が恥ずかしくなる。 だから、自然と視線が膝の上に落ちていった。
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