第2章 犬も食わない

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ちょっと恨めしくなって答えの代わりに尋ねると、 さすがに彼女もハッとして苦笑を浮かべる。 「ごめんね。でも、あの二人、なんかすごく気になってて……」 そして、「続きしよう?」と言ってくれるも、 やっぱり彼女の中を僕だけで埋め尽くすことが出来ていない気がする。 だが、僕の心が穏やかでないのは、 彼女の視線と思考を独占できないからだけでもない。 実は、このところの僕の置かれた状況は、 一方で、こうして彼女が一生懸命に安奈さんたちの仲を 取り持とうとしているのを見ていつつ、 もう一方では、小野寺さんの気持ちも聞いている。 「確かにさ、ちょっと驚くほど料理が出来ないんで、さすがに引いた。 けど、それよりもこのところ、こう、ジワジワとプレッシャー掛けて くるようになってさぁ」
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