第2章 犬も食わない

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「あのね、ちょっと手間をかけさせて悪いんだけど、 帰って来る金曜日に、響くんが夕飯に食べたい物を さり気なく探り出して、メールもらえない?」 「えっ……?」 なんか、嫌な予感がした。 そして、「どうして?」と尋ねた僕に 彼女は、楽しそうな面持ちを向けてくる。 「安奈ちゃんとね、サプライズをしようと思って」 「どういう事?」 益々、僕の中で嫌な予感が広がり、不安となって変な動悸がうるさくなる。 そして、 「安奈ちゃんたち合いかぎ交換をしてるみたいだから、 響くんが食べたいって思ってる物を作って帰りを待ってたら 喜ぶだろうなって。 あっ、もちろん私は、彼が帰って来る前に退散するわよ」 なんだか、自分の事のようにワクワクを浮かべる。
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