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第2章 犬も食わない
近頃、僕の心は穏やかじゃない。
それというのも、ここ数週の週末をナッちゃんと二人だけで
過ごせていないから。
そして、僕たちの間に何かと入っているのが、安奈さんと小野寺さん。
いや、正確には、彼らが僕たちの間に入ってきているのではなく、
ナッちゃんが、彼らを何かと週末に組み込むからだ。
現に、安奈さんの所にカツ丼を教えに行った、翌週末。
ナッちゃんは、彼女たちを僕たちのマンションに招いた。
「ねぇ、響くん。これ、誰が作ったと思う?」
彼女は、彼らの前の大皿の上の太巻きを、少し笑みをかみ殺しながら
小さく示す。
しかし、そんな唐突な質問に「えっ……?」と小野寺さんが戸惑うと、
「冠くんが作ったのよ」
ニヤリと笑みを広げて、どうだとばかりに言う。
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