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覚悟を決め、決意を新たにした妹神の眼光に揺らぎはない。
妹神の真の強さをよく知っていた姉神は、安易にその申し出を拒みはしなかった。それが徒労に終ることを深く理解していたのだ。
そこで姉神は、ますます穏やかに優しい声音で、
「では、二人で参りましょう」
と、提案した。
妹神も、姉神の情の強さと深さが身に染みていた。
そこでやはり、
「そうしましょう」
と、微笑んで応えたのだった。
山での探索は、考えていた以上に困難を極めた。
少女たちはその神力を失い護りをなくしたせいで、白く瑞々しい身体は何処も泥にまみれ傷を負い、艶やかな髪は乱れて光をなくした。
それでも、姉妹は互いに二人でいることが嬉しく楽しく、麗らかな声だけはそのままに笑い合い歌い合って獣道を登っていく。
そうやって、一体何日過ごしたのか。
いつもの通り二人並んで手を繋ぎ、急傾斜になってきた地面を支え合いながら進んでいると、唐突に声が掛かった。
「そなたらは、人ではないな」
山の神だった。
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