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俺は、こんなに幸せでいいのだろうか。
「……これから、よろしくお願いします」
「はい。よろしくお願いします」
俺たちは他人行儀な挨拶を交わし、また笑い合った。これからも、たくさん笑い合うだろう。それだけじゃなくて、悲しいことや辛いこともきっとある。でも、俺たちなら大丈夫。それらを乗り越えていける。
「美幸」
「ん?」
「キスしていい?」
「なっ……!?」
俺は、返事を聞く前に美幸を抱き寄せた。温かい体温を感じる。視線をおろすと、すぐそこに美幸の唇があった。
「ダメ?」
「……察してください」
「そればっかりだな」
俺は美幸の唇に、自分の唇を近づけた。ああ、今はこの幸せを噛み締めよう。好きな人が傍にいてくれる幸せを。
「目、閉じて」
「ん……」
目を閉じ、唇を差し出すその姿があまり無防備で愛らしかった。俺は自分の気持ちを伝えるため、美幸にキスを……。
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