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「あ、あの!
これ! 受け取って下さい!」
後輩と思われる彼女は、そう言って手紙を手渡すとそそくさと立ち去った。
と言っても受け取ったのは僕じゃなく友達のソウマだ。
その場に居合わせただけの僕はなんとも気不味い。
「またか……」
「モテモテだな~」
「うざったいだけだぞ? 変わってくれよ」
「……お前いつか誰かに刺されちまえ」
「は? なんでだよ」
「今の、今年度もっとも注目されてるヒナタって子だし、この前はレイコと一二を争うタマキさんだったろ? 他にも色んな子からもらっただろ」
「そんなん知るかよ。ただの自己中ばっかじゃねぇか」
「ん? でもそんな交流してないだろ」
「お前が知ってる時点で自己中ってことだ」
「……や、まぁ……うん」
必ずと言ってもいいほど、ソウマに恋する彼女達は僕が一緒にいる時ばかり想いをぶつけに来るんだ。
ソウマは簡単に言ってしまえばミステリアスだ。
僕を含めた気の許したほんの数人以外には録に口も開かない。
僕の前では明るく笑うし冗談だって言う。
ソウマが一人でいる時は、まるで薔薇のようだ。
見た目は華やかなのに誰も近づけさせない攻撃的なオーラを放つ。
彼女達の気持ちを察すると、僕は返事に困ってしまった。
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