好きなことは調べる

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―――あれから一ヶ月。 「ちょっとあんた!」 「え?」 「あんたじゃなくてそっちのあんたよ!」 下校中。 後ろからの声に振り返ると一人の女の子が怒りを露にしていた。 「……ソウマ、知り合い?」 「知らん」 「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」 チラ見しただけで歩き続けるソウマに彼女は逃げられまいと食い下がる。 「悪い。ちょっと離れてるから任せた」 そう言って有無を言わさずソウマは歩き出し、ある程度の距離を取るとスマホに目を向けた。 「はぁ…… ごめんね。とりあえず要件は何かな?」 ソウマ曰く、このての相手は本人より無関係な方がいいらしい。 「あんたじゃ…… 記憶に残らないような平凡な顔……ひーちゃんが言ってたいつも一緒にいる人……? まぁ、いいか。 あいつの好きなタイプを教えて頂戴」 僕たちの動向に戸惑ったのか、声を掛けてきた彼女は大人しく待っていた。 けれどもなんというか声がデカイ。 「タイプ?」 「ええ」 「タイプか……ちょっと待ってね」 困った。 聞いたこともない気がする。 他愛もない話ばかりで異性の話をした覚えがない。 「俺が好きな女はツキがある女だ。 もう答えたからいいだろ。行こうぜ」 「あ、ソウマ」 「それだけなの?!」 「ったく声がデカイ奴だな。 おい、あいつの独り言は気にするなよ。俺は味があって好きだぞ」 「なっ!」 「ソウマ!?」 「ハハッ。じゃ、そういうことで」 「あっ! ソウマ待って! ごめん。じゃぁね」 「え……うそ……そっち? ひーちゃんになんて言えばいいの……? あ! もしかして『突き』? 武道経験者ってこと……?」 疑惑を残したまま、ソウマと僕はその場を去った。
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