ある夏の日に

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足でレバーを踏むと、角から噴水のように細い水が、キラキラと光を纏って吹き上がる。 それが面白いのか、男の子は何度もカチャカチャとレバーを踏み、放射状の光る糸を眺めていた。 その興味深げな横顔、見開かれた人形のような目にひきよせられ、山村はぼんやりとその子をながめていた。 Tシャツや短パンから伸びた手足は驚くほど華奢で、4、5歳なのだろうと感じた。 幼稚園の年中くらいだろうか。 そうだ、正輝と同じくらいだ。 途端に胸がぎゅんと、苦しくなった。
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