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11話 金狼と銀狼
ある日、激しい雨が降り止まず修行が中断された。
マサトらは雨をしのぎながらそれぞれの身の上話をする。
空理は世界がONIに支配される前は高校の教師だったという。
由緒ある寺院の子孫であったにも関わらず家業を継がずに教師の仕事を選んだが、ONIの支配により自らの役割は僧となり人々を安心させることだと思うに至ったのだという。
小太郎と小次郎は代々伝わる古武道の武術家の家系なのだという。
しかし二人揃って古武道に興味を示さずサッカーなどのスポーツに興じていた。
武道は幼い頃に多少習ったくらいだった。
武術家の父から本格的に武道を教わる前に、父はONIに殺されてしまった。
手段を問わずにONIの討伐方法を模索していた崩壊寸前の政府が古武道に目を付け父を説得したのだった。
皮肉にも父は彼ら二人に古武道に興味を持ってもらうためにONIとの戦いを引き受けたと父の死後に知ることになった。
それ以来、二人は独学で武道の修練を積んできた。
高次元空間でも戦闘を行えるようになりたいのだという。
マサトは両親をONIの手から救い出したい想いを小太郎と小次郎に初めて明かした。
雨が上がると彼らは普段よりも一層修行に打ち込んだ。
その時、小太郎と小次郎は何かをひらめくと高次元空間での姿が変化した。
二人とも今までの漠然とした小動物の姿だったのが、形がはっきりとした狼の姿へと変貌した。
小太郎の方が金色に輝き、小次郎の方は銀色の光を放っている。
空理がそれを見て金狼と銀狼と名付けた。
高次元空間では必ずしも人間の姿が最良とは限らず、獣の姿の方がその人にとっては良い場合もあるのだという。
狼は攻撃的な傾向の表れであり積極的に戦闘を行うスタイルに適正がある可能性が高いと空理は言った。
そこで空理自身は高次元空間での戦闘能力を有していないが、戦い方のコツを伝授することになった。
それは更なる高次元空間からのMLVエネルギーを自分自身に取り込むことだと空理は伝えた。
マサトらは空理から高次元空間での戦闘行為の基礎について学び実践する。
マサトはMLVエネルギーを武器化することを望み、剣に変化させて戦うことができるようになった。
狼姿の小太郎と小次郎は爪や牙にエネルギーを集めて戦闘能力を高めることができるようになった。
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