7話 山の上の修行僧

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7話 山の上の修行僧

 飼い人の少女に言われたことを全く気にしてなかったマサトだがあの時一緒にいた不良グループのメンバーからリーダーの耳に入る。  飼い人の言葉は下手な宗教家よりも信ぴょう性があるとして、不良グループの枠を越えて噂が広まり、地域の人々の援助を受けてマサトは僧を求めて旅に出ることになる。  マサトの他に不良グループの中でも志が高く喧嘩も強い双子の小太郎と小次郎がお供することになった。  文明が栄えていた頃は車で1日で行ける距離を徒歩で3日程かけて向かう。  一度山奥の修行僧に会ったことがあるという小太郎と小次郎から道中に様々な話を聞く。  山林の中にはONIの棲み家はなく、生活には不便ではあるがいくらかは安心して暮らせることを知った。  しかしどういうわけか人里離れていても家屋の中で人間が暮らすことをONIはどこかで知り、すぐに取り壊しに来る場合があるらしい。  そのため険しい山奥でも建物を作って暮らすことはできない。  やがて山頂付近に夕方頃マサトらがたどり着くと、そこには一人の修行僧が自給自足の生活をしていた。  ONIに世界が支配される前は由緒ある大きな寺院の跡継ぎだったという男はマサトを見るなり彼の内に秘めた可能性に興味を抱く。   修行僧の名は空理(くうり)といった。  空理はマサトら3人に修行させることを約束した。  下山して質素な食事を摂ると彼らは寝床を探した。  その日の夜、マサトらが眠りに就こうとする時に、空理はマサトだけを呼び出した。  足元すら見えないくらい辺りの闇は深かった。  これから再び、その暗闇の中で山を登り、更にその先にある山頂を目指すのだという。  不機嫌なマサトは断ろうとするが、空理がマサトの両親の行方がわかるかもしれないという意味深い発言に揺り動かされて山を登ることに同意する。
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