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「アランと兄貴とカイが来たのはその後、全くうちの男共は頼りないわよね。」
いい加減受け取って貰えない食器を膝の上に戻して、話に耳を傾ける。
「私それまで髪の毛を短くしてたんだけど、九重さんとお揃いにしたくて、髪の毛を伸ばし始めたのよ。」
アスは自分では気が付いていない様だが、完全に恋をしていた。
「その後、アランが助けてもらったお礼がしたいって言ったら、九重さんはアランの剣を要求してきたのよ。」
「随分と厚かましい要求ですね。」
「そうでもなかったわ、九重さんは自分の剣と交換してくれって言って、アランの持ってたぼろぼろの剣と、凄い豪奢な剣を交換してくれたの。」
「今使ってる剣ですか?」
アランの持つ剣は、溶かしたラピスラズリに金で強化の魔方陣が付けられていて、何か特殊な金属でできている様だった。
「そう、あの剣凄いのよ、兄貴の話じゃ岩を切ったって。」
まぁ、普通の剣じゃないのは見れば解る。
「あ、ご飯食べ終わったの?」
「うん。」
俺は今度こそアスに食器を渡した。
「それじゃ、お話はここまでね。ゆっくり休みなさいよ?」
アスはそう言い残して部屋を出て行った。
「さて、筋トレの時間だ。」
腹筋が10回できる様になっていた。腕立ても20回程度を熟せた。
「だいぶ体力と筋力が付いてきたかな。」
20分くらい体を休めてもう一回筋トレを開始する。
腕立てが20回を楽にできた。腹筋もさっきの倍くらい熟せた。
ついでにスクワットと背筋も30回ずつ行ったところで、体力に限界が来た。
「うぐぐ・・・ベッドに戻らない、と!」
床を這うようにしてベッドに戻り、体を横たえる。
「タクト、居るか?」
「は、はい?」
ベッドに横たわって一息ついた所でライザがドアから顔を見せた。
「よっこらせ、いきなりだが、俺達はそろそろこの街を離れなきゃならない。」
「え?」
「元々はギルドの依頼でこの街に来てたからな、いい加減に帰らねぇと日数がオーバーして報酬が貰えなくなっちまうんだ。」
まぁ、冒険者とかハンターとか世界中に恋人のいる医者だし、世界各国を飛び回って居るのは容易に想像ができる。
「それでだ、お前をバーミリオン帝国の首都、バミルズに連れて行きたい、俺達と一緒に来てくれるか?」
「良いんですか?」
「ああ、俺もアスもお前が気に入った。」
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