25人が本棚に入れています
本棚に追加
「次はランニングだな、走れそうか?」
「思ったより体力が回復してるみたいなので、大丈夫です。」
俺とライザはこそこそと宿を抜け出し、夜の街へと繰り出した。走り込みに。
「凄まじい回復力だな、もうこんなに走れるなんて。」
体はまだカリガリで、多少の筋肉は有れど、脂肪が全くない状態だ。
これでは攻撃を受けた際に緩衝材が無くて衝撃が直に体の負担となる。
脂肪は無ければいい何てことはない、プロレスラーの体に脂肪が有るのは相手の攻撃による衝撃や内臓に来るダメージを軽減するためだ。
要するに、脂肪の下にしっかりとした筋肉が有ればいいのだ。
「明日は、肉が、食べたいです。」
「おう!アスに言っておいてやるよ。」
息が切れてきたが、この体は無理をすれば無理をする程無理の効く体になる。
疲れたからと言って休まない、この人たちの足を引っ張らないためにも!
「どうした?足が覚束無くなって来てるぞ。」
「少しへばってるだけです、まだ行けます!」
結局夜明け近くまで走り込みをしてしまった。
しかしそのおかげで体力が凄く成長した。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・。」
「若いのにこれくらいでばてるなよ。」
仕方がないだろう、今までろくに運動も出来ず、牢の中で満足な食事も与えられず、それで数時間走り続ける事が出来る体力何か付く筈もない。
それでも無理をして走ったんだ。息切れ位許してほしい。
「しかしお前、拾った時とは見違えたな、どうやったらそんなに早く成長するんだ?」
「きっとどこかの執事服を着た神様が加護を授けて下さったんですよ。」
「神様が執事服とか、無いだろ・・・。」
現実は小説より奇なりと言う言葉が有る。事実俺はそんな神様を見て来た。
「明日ってか今日はゆっくり休め、筋力の増強には休息を挟むのが効率がいいらしいし、また夜になったら走り込みだ。」
「はい、師匠。」
出た時同様、こそこそと部屋に戻りベッドに横になった。
関節を動かすたびにキシキシと音が鳴った。ストレッチもしておこう。
ベッドの上でストレッチ運動をしていると、アランが部屋にやって来た。
「がうり・・・じゃなかった。タクト、話が有る。」
「はい?」
「すでに聞いているとは思うが、俺達は俺達の拠点の街に帰らなければならない。」
「ライザさんから聞きましたよ。帝国の王都ですよね?」
最初のコメントを投稿しよう!