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先生に見送られ廊下に出るとセリスがそこにいた。
「授業のさぼりは感心しないぞ?」
「・・・自習だったから、プリントが早く終わった」
「そうか、流石は学年トップだな」
当然と胸を張るセリスの肩をポンポンと叩いて歩きだす。
「・・・体調は大丈夫?」
「問題無い、夢の中で厄介な奴らに捕まってただけだ」
「・・・貴方の力をもってしても厄介なんて、世界の危機?」
「大丈夫だろ、あれはむしろ世界を救う側の存在だし」
セリスの心配をよそに、学園の購買を使うなんて初めての事じゃなかろうか?と下らない事を考えながら購買に向かった。
「おや?さぼりかい?感心しないねぇ」
「体調不良で保健室にいて、今目が覚めた所なんです。もうすぐ昼飯時だし先に昼食を調達しておこうかと思いましてね」
売店のおばちゃんにそう言って、パンを3つとジュースを3本手渡す。
「1000Gちょうどだよ。あんた、帝様だろ?」
「まぁ」
「家の家庭菜園のプランターが中々実を付けないんだよ」
知るかよ、帝とどういう関係のある相談だよ?
「プランターを大きくして、日の光に当ててあげれば大丈夫でしょう。後、西日にはあんまり当てない方が良いと思います」
そこで真面目に答えてしまう俺も俺だが。
「成程ねぇ」
「それと、プランター栽培なら、肥料の調整や水分の調整もした方が良いですよ。農家の方に知り合いがいれば聞いてみると良いかもしれませんね」
「流石は帝様だね!」
今度こそ金を払って購買を後にした。
「はいこれ、セリスちゃんとアリスちゃんの分、心配掛けたお詫び」
「・・・タクト君のは?」
「俺は早退して部屋で食べるよ」
何て言ったって昨日部屋に帰っていないし、シャワー位は浴びたい。
「それじゃ、俺は医務室と教室によって寮に帰るから、またね」
「・・・バイバイ」
小さく手を振るセリスと別れて医務室にパンとジュースを差し入れた。
「やっぱりこの時間じゃないと買えないのよね、これ」
コッペパン、何故かこの世界では総菜パンより人気の商品だ。ろくな総菜が無いのが理由なのかもしれない。
俺はそれを先生の手から奪い、中央に切れ目を入れる。
「わ、私のコッペパンに何を!?」
「ふっふっふ・・・はーはっはっは」
悪役っぽく笑ってパンを魔力の火で軽く炙りこんがりした所でバターを塗る。
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