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「貴方は死にました。」
いきなり人の夢の中に出てきて何言ってんだこいつ。
そう思って目の前の執事服を着た男を睨みつけた。
「睡眠中に飼い猫が顔の上に乗り、窒息して死んだのです。」
「うっわ、びみょー・・・。」
「全くで御座いますね。通常、睡眠中でも、息苦しくなったら起きたりするものですが。」
確かに・・・。
睡眠薬でも盛られたか?
「その予想は正解であり誤りでもございます。」
「どういう事だ?」
「自分で飲んでいたではありませんか?」
そうだった。
仕事のストレスで不眠症を患って居た俺は、寝る前に睡眠薬を服用していた。
「では異世界に行って、魔王を討伐して頂きます。」
「何の説明も無し!?」
適当にも程が有るだろう!
「冗談でございます。」
「この人、心臓に悪いわ・・・。」
そう言って胸に手を当てるが、感触は有っても鼓動が感じられなかった。
「マジなの?」
「何がでございましょう?」
「俺が死んだって、これ夢だよな?」
「マジで御座います。冗談なのは説明も無しに異世界に送る事だけです。」
「あの死に方もマジなの!?」
「はい、ついでに魔王を倒して貰うのもマジで御座います。」
「あれでしょ?特典とか、くれるんでしょ?」
じゃなかったら、多分1日位でここに戻って来る事になる。
「もちろんです、しかしながら、貴方は人間として小さすぎた。今の状態では特典を与えても魂がそれを許容しきれず、消滅してしまいます。」
今さらっと貶されたんだが・・・。
「頭も性格もよくない上に、人間としての器まで小さいとは、救いようが有りませんね。」
「おいやめろ!人間には言って良い事と悪い事が有るだろ!」
「申し訳ありません、我々神にはそのような事は御座いませんので。」
神とか何言っちゃってんの?
「頭、大丈夫ですか?」
「ええ、貴方のおつむよりは正常に動作しているかと。」
こんな毒舌な神様も居るのか、他世界も広いみたいだ。
「で?特典を貰うと消滅しちゃう俺に、どうやって特典をくれるつもりなんだ?」
「一度魂を浄化して、聖水でふやかして無理やり伸ばして大きくします。」
すっげー強引!
「マジ怖いんですけど・・・。」
「大丈夫、痛みは御座いませんので、準備が終わるまで、お休みください。」
そう言うと神様は手を水平に動かした。
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