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「アランに聞いたの?」
俺は軽くうなずいてそれを肯定する。
「にお・・いが・・・した・・・りん・・・ごの。」
「え?そんなの判るの!?」
俺は頷いて明日の手の匂いを嗅いだ。
「ちょ、止めてよ。」
色濃く血の匂いがして、少し顔をしかめてしまった。が、こんな世界で生きていればそう言う事も有るだろう。
「言っておきますけどね、私の手の血の匂いは、怪我をした仲間を手当てするときに着いたものだからね、私は今まで生き物を殺した事が無いのが自慢なの。」
成程、少し安心できた。
「あり・・・がと。」
「はいはい、さっきも聞いたわ。それじゃおやすみ。」
アスが部屋を出て行ったのを確認して、再度横になった。
前世で眠れなかったのがウソのように、すぐに眠気が訪れて、俺はあっという間に眠りに落ちた。
翌朝、騒がしい話声で目が覚めた。
「お前ショタコンだったのか?」
「あんたこそ、女っ気が無いと思ってたら、そういう趣味だったのね?」
アスと誰かが言い合っている様だ。
ゆっくりと体を起こして、声の方に顔を向ける。
「あんたが五月蠅いから起きちゃったじゃないの。ごめんね、起こしちゃって。」
「うるさいのはお前だろ!?」
とりあえずどっちも五月蠅い。
「すまねぇな、俺はライザってんだ、職業はハンターだ。」
「よろ・・・しく・・・。」
「ヨロシクしなくていいわよ、こんなろくでもない奴と。むしろしちゃだめよ?」
「いの・・・ちの・・・おんじ・・・んだ・・・から。」
「律儀ねぇ、良かったわねショタコン兄貴、ガウリーがよろしくしてくれるってさ。」
「おう!飯は食えそうか?」
「りん・・・ご・・・たべ・・・たい。」
「食欲は有るみたいね、ちょっとこの馬鹿のお守りしてて、今摩り下ろしてくるわ。」
「よっこいせ、お前あれだろ、貴族の子供だろ。」
俺は頷いて返事をする。
「魔盲だって話は聞いてる。実は俺もそうなんだ。妹は世界でも屈指の魔力の持ち主なんだけどな。」
「アス?」
「良く解ったな、初対面の奴は大体気が付かないんだが。」
誰だって美女と野獣が兄弟だとは思わないだろう。
「んで、妹には負けられないって事で、俺は体を鍛えた。」
(で、ゴリラになったわけか。体を鍛えるのもほどほどにしないとな・・・。)
「今じゃこうして一流のハンターだ。」
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