贄(にえ)

3/4
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
日が暮れて、 二人は旅立つ事とあいなった! 「川に小舟が参ります。」 川下から小舟が棹を操り、 二人に近づいてきた! 「昴(すばる)! 菖蒲殿は?」 舟を操る若者が、 声をかけた! 「若様、 こちらに……。 さ、菖蒲殿、 揺れますゆえ、 お気を付けて!」 「この方は?」 「許嫁殿ですよ……。」 「では、私を逃がして下さるのはまことにと?」 「はい……。」 昴と呼ばれた若者が、 にっこり微笑んだ! 小舟が揺れ、 菖蒲は、ふらついた! 「危ない!!」 菖蒲の身体を しっかり受け止めたのは、 許嫁殿だった! 「あ……有難う……。」 この方……見覚えがある……!? 何度か幼い折りに、 遊んだ事が有るような……。 「あや殿、 龍吉(たつきち)じゃ!」 「タツ!?」 幼馴染みの一人で、 隣村のタツと言われていた! そうだったんだ!!
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!