出逢いは悪夢の中で

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岳人はガールフレンドが複数いて、その中には年上も居るらしい。 なにせ、母さんの友達――つまり、父兄にも岳人のファンが居る位なのだ。 全く、恐ろしい中学生だ。 僕は机の中から来週callingで予定されているクレッシェンドのチケットを出して眺めた。 「君と恋撒く全国ツアー……かあ」 (困ったぞ。一人でライブ参戦は御免だし、さりとてチケットを無駄にするのも勿体ないし) 誰か誘う――? その時、脳裏に茜の顔が浮かんだ。 「いや、ありえないありえない」 callingでは、『サド』のライブが始まったようだ。 隣の隣の、この家には当然音洩れがバッチリ聴こえる。 『……さあ…振れ… …を振れ…』 ベッドに仰向けになり、音洩れで微かに聴こて来るサドのヒット曲 『SHAKE』を口ずさむ。 「♪頭を振れ――腰を振れ――YEAH!YEAH!」 強烈に眠くなり僕は欠伸をし、瞼を閉じた瞬間、眠りに堕ちた。
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