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――女子は苦手だ。
だからって、男が好きなわけじゃない。
自分はストレートだと思う。多分。
ただ、女子特有のあの黄色い声とか――
三人集まると姦しい、というが、女子の集団の威圧感――あれは一体何なのだろう。
二歳の幼女から七十超えのおばあちゃんに至るまで、僕は得意ではない。
現実の女の子よりも、二次元の萌えに癒されている僕なのだ。
――しかし。
今目の前に存在する茜を見て脳ミソが蒸発する位の衝撃を感じていた。
♪ちゃーらーちゃららー
ちゃーらーちゃららー
エレクトリカルパレードが鳴り止まない。
「サキリン☆……」
思わず呟いてしまい、慌てて口を塞いだ。
僕にとっての『神アニメ』
"魔法少女☆サキリン"
のヒロインの『サキリン』に茜は似ているのだ。
アニメーションのキャラと三次元の女子が似てるなんておかしいけど……
でもなんか知らないけど似てるんだから仕方ない。
定番のサラサラ黒髪セミロング。
黒目が大きくて少し釣り気味の瞳。
制服から伸びたすらりとした手足。
絵心のある人が茜をイラストに書いたら、まんま
『魔法少女☆サキリン』になるだろう。
「さきりん?」
茜が気持ち目を大きくして首を傾げた。
「ななな何でもない……」
「そう?……あのね、鈴木君ちの家ってライブハウスcallingの隣なんだよね?」
「な、何故それを知って!?」
「いいなあ?」
茜は、尊敬するような眼差しを僕に向けている。
一瞬、こそばゆいような気持ちになったが、頭の中で
―『おい、ちょっと待てよ。茜がお前に話しかけてくるなんざ、何かよからぬ目的があるに違いないぞ』―
と"勇人二号"が囁いてきた。
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