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桜の木の下には死体が埋まってるらしい。
補習が昼で終わった後、図書室で読んだ本にそう書いてあった。
俺は考えてぞっとする。
学校にも桜はあるが、あの下にも埋まっているのだろうか。
恐怖心に好奇心も煽られる。
本を読み進めていくと、更に興味深い事が書いてある。
某所に大きな桜があって、場所が場所な為、切り倒す事になった。
しかしその桜を切ろうとした時に限って機械が壊れる、指揮監督が寝込む、などのアクシデントが続発した。
結局、桜は切られず放置されている。
これは桜の呪いだろうと、我ながら非科学的な仮説をたててみる。
思えば桜は日本を代表とする花でもある。
逸話の数も花の中では桜がダントツで多いだろう。
ガタッ
物思いに耽っていると、向かいの席に誰かが座った。
「海、何読んでるの?」
同じクラスの佳保だった。
時たま一緒に本を読んだり、貸し借りしたりしている。
「見ろよこれ。知ってるか?」
身を乗り出して、自身の知識を佳保に教える。
「桜の木の下には死体があるんだ。」
「知ってるわよ。有名な話じゃない。」
「……」
相手の驚くような反応を期待していたため、少しガッカリしてしまった。
「しかもその本読んだことあるし。」
「マジか……つまんないな。」
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