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冷たい部屋に置かれた灰皿がまだ存在感を残している。
彼に一方的に別れを告げた。まだ彼の名残が部屋の中に残ったままなのだ。
同棲していたわけではない。お互い独り暮らしで時々どちらかの部屋に泊まっていくという至って普通の恋人同士だと思っていた。
そう思っていたのは私だけだった。
私の部屋で煙草は許していなかった。部屋に残るにおいも壁紙への影響も嫌だからとベランダで吸ってもらっていた。
私は喫煙の習慣がなく、家族に喫煙者もいない。煙はとても疎ましかった。
煙を愛する彼のために準備した灰皿を彼は持っていってくれなかった。
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