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とっさに身を隠せたのは我ながら良くできた。
彼は家族に意識が向いていたのだろう。入口に向かおうとした私のことなど視界に入っていないようだった。
車の影に隠れて様子を観察した。女の子の目元が彼によく似ていた。
女の子は、「パパ、パパ」と嬉しそうに手を引いていた。買ったばかりのチョコレートの箱を開けて欲しそうな仕草を見せていた。
見つからないように車に乗り込んだ。彼らが見えなくなるのを確認してから逃げるように駐車場を出た。
心臓の鼓動が大きく、息も止めていたのだろう。車を発進させると息が乱れていることに気が付いた。
家についても運転席でしばらくいた。鼓動と乱れた息を整えるまで時間を要した。
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