メルト

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この前見たことを言わなくては、聞かなくてはと気持ちばかりが急いて、きっかけがつかめずにいた。 彼はいつも通りくつろぎながらお菓子に手を伸ばした。 「あ、当たり。」 私の変化に気がつかない彼はお菓子を開けた。 彼は見事に当たりを引き当てたことで興奮気味だった。 丁寧に指先で当たりマークを切り離すと財布に入れた。 それがきっかけとなった。 「娘さん、喜ぶだろうね。」 冷えた言葉が口から溢れ出す。何を言ったか具体的に覚えていないが、既婚者だと知ったからには付き合いを続けることが出来ないと話したはずだ。 彼は単身赴任しているだけだった。
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