メルト

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遠ざかる足音も聞こえなくなり、部屋に戻ると彼がテーブルに置いた灰皿が目についた。 衝動的に手に取り投げつけようとして止めた。そんなことをしても片づけなければならないのは私なのだ。 灰皿だけをどうこうする問題ではないのだ。 彼が残していったものはないかと部屋を歩いて回る。洗面所で歯ブラシ、ついでに彼が使ったハミガキチューブも一緒に手に取った。 意外と物はなく、他はさっき買ってきたお菓子と缶チューハイだけだ。 缶チューハイを開けて缶のままで飲み干す。冷たい液体が喉を通って刺激を与えながら胃にたどりつく。 封の開いていないお菓子はコンビニの袋を縛ってそのままゴミ箱に突っ込んだ。
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