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ああ、私は覚束ない足取りで、縁側に座る。
暖かな日差しが眠気を誘う。
ああ、私が見つめる掌。そこから、ぽろぽろと、今まで培ってきたものが溢れ落ちていっているかの様だ。
今の境地に至るまで十余年。
ずっと刀を振ってきた。
ずっとだ。
復讐を遂げる為だけに。全ては、こいつ等を皆殺しにする為に。
「……終わった。終わったよ、これで全部」
「は、良かったな。嬢ちゃん。
これで晴れて自由の身だ。明日から好きに生きな」
用心棒の男が、無責任な言葉を投げ寄越してくる。全く、人の人生を奪っておいてなんて云い種だ。
好きに生きろだなんて、今更云われたところで、一体、どうすれはいいと云うのだろうか。
全く、本当に無責任な連中だ。
最後まで。
最後まで無責任な連中だった。
ああ、私が用心棒の男に視線を向けると、どうやら息絶えてしまった様だ。
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