凛として

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涙を拭って、凛と背筋を伸ばす。 寒桜も凛と枝を伸ばして、私達との出会いを受け入れてくれている。 時折はらはらと舞う花びらは、 散るというよりもむしろ、地面へと蒔かれる種のように思えた。 花が散って、それで終わりではない。 庭に向日葵が芽吹く頃には、 きっとこの樹は、たくさんの葉を青々と繁らせるのだ。 同じものを見るもうひとつの存在を心に住まわせて、 私の時計はようやく再び、動き始めた。 ――遠い、春の日の記憶。 Fin. image=498482535.jpg
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