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結局、その日俺がもらえたのはクラスメートの数人からだった。
浜田以上秋本以下。
秋本は去年クラスメートだった女子にまでもらいに行ったらしい。甘党だからとかなんとか言ってた奴の鞄は朝に比べてパンパンになっていた。
甘いものを嫌いだとまでは言わないけど、でも他クラスまでもらいに行く勇気はない。他クラスどころかクラスメートにももらいに行く勇気はない。
秋本にはヘタレとか言われたけど、別にいい。もらえたから。
「あ、井原じゃん」
放課後。
部室に行く途中、階段上から声をかけられた。
去年のクラスメートの桂木はその手に学校指定の鞄と紙袋を持っていた。
「部活行く途中?」と言いながら桂木は階段を降りて、俺の横に立った。
紙袋の中は小さな袋や箱がたくさん入っていた。
「あ、チョコ、もらえた?」
ニタニタと笑う桂木に「もちろん」と胸を張る。
胸っていうか、見栄だけど。ただのかっこつけ。
「じゃ、私も貢献してあげる」
桂木はそう言って紙袋の中から2種類の袋を取り出した。
よくあるビニール製のやつと、箱に入ったやつ。
「右か左、好きな方を選んで」
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