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何度、己の体の弱さを呪い、恨んだだろうか。
ソレイユの武術も決して弱くはない。
一般的に見れば強者の部類なのだが、長時間派手に体を動かすと喘息の発作が出てしまうのだ。
更にそれをこじらせると発熱し、数日寝込んでしまうこともある。
幼少期よりかなり改善されたが完治はしていないのが現状だ。
「机仕事ばかりでは体が鈍る。持病はあるが適度な運動も必要なのだ。時間を決め、休憩しながらで退屈かもしれんが付き合ってくれるか?」
「退屈なんてしません!是非!」
ルナのキラキラした瞳に、ソレイユは少し眉を下げて微笑んだ。
互いに刃引きされた剣を手に取る。
ルナはレイピアのような細い片手で扱う剣。
ソレイユは少し細身の両刃の剣。
「魔法は無しだ」
「わかりました」
一言だけ交わすと、互いの瞳は真剣なものとなり、剣を構える。
そしてひと呼吸置き、ルナがくソレイユに切り込んでいった。
眼前に繰り出される突きをソレイユは剣で払い、その勢いのままルナに向かって剣を薙ぎ払う。
即座に身をかがめてその剣を避け、再び距離を取り対峙する。
「全く、簡単にかわしてくれる…」
皮肉を言いつつもソレイユの口元は笑っている。
ルナもまた同じく挑発的な笑みを見せ、時間が許される限り手合わせを楽しんだ。
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