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「ルナ。ヴェールを被り、壇上で挨拶したらすぐに下がりなさい。今後、お前が表立った場所に姿を出すことも城から出ることも許されぬ」
入場する直前に父から言われた衝撃の言葉。
8歳の誕生祭だった。
一切の祭事や、自分と兄の誕生祭にすら出席を許されなくなったのは。
古株の侍女に聞けば、そういうものだと。
一国の王女は年頃になったら恥じらいというものを覚え、祭事には出席しないのだという。
年頃と言ってもまだ8歳になったばかり。
言葉の意味はわかるが、何故なのかは全く理解できなかった。
しかし父に逆らえるはずもなく、母と兄の申し訳なさそうな顔を横目に、来賓に挨拶をした後、すぐにパーティ会場を後にした。
「む~~~~~~~~っっ!つまんないっ!!」
無理を言って侍女たちが集まる食堂に来させてもらい、長机の1つに腰掛け机に突っ伏した。
「まぁまぁ姫様。何か甘いものでもお出ししましょうか?」
侍女の1人が宥めに来るが、幼いなりに噴火した火山は簡単には収まらない。
「~~~~~~~~っ!!」
やり場のない怒りを持て余し、机に突っ伏したまま地に付かない足をジタバタと動かしてしまう。
王女教育係がいたら大目玉だろう。
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