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この日、一日中先生の目を盗んでは、待ち受けを眺めていた。友達から「連絡でも待ってるの?」と心配そうに聞かれ、笑ってごまかす。
待ち受けを見せて事情を話してもいいんだけど、父の話をすると私よりも友達の方が気を使ってしまうので「なんでもないよ」とスマホを伏せた。
帰り道、途中まで一緒だった友達と別れて、寄り道する。まだ明るいし、天気もよくて夕方でも肌寒さはあまりない。
私が目指したのは、町中から少し離れた所にある公園。子どもの頃からよく遊びに行っていた所で、遊具やちょっとしたアトラクションもある。
遊具で遊ぶ子どもやそれを見守る保護者を横目に、足早に目的の場所へ向かう。
広い公園の中、忘れ去られたかのような一角に一本、桜の木がある。
道路端なんだけど、交通量が多い道路で車からは視界に入っても気には止めない。公園の中からも奥まった所にあって、近くに遊具もなく、申し訳程度に古びた木のベンチがあるだけ。
ただ本当にひと気がないから、暗くなる前に目的を達成したい、というのが女子高生の本音だ。
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