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「光風さん。私の妻となっていただけないでしょうか」
「えっ・・・」
一瞬、時が止まったように感じた。
「それは、不可能ですよ」
「どうしてですか?」
光風はうつむき、1度溜め息のように息をつく。
「私だけでなく、此処にいる女の殆どは親に売られた身です。この遊郭から出ることは許されません」
「そんな・・・」
「貴方の様な方に嫁ぐ事が禁止な訳ではありません。ですが、それには多くのお金が必要なのです。特に、私の位の者をとなれば、莫大な金額となってしまいます。とても支払えるような額では無いのですよ」
「そうでしたか」
「ありがとう。気持ちは嬉しいですよ」
そう答える 彼女の瞳は少し寂しそうにも見えた。
「では、また来ます」
立ち上がり、部屋を出た。
「お待ちしております」
後ろで光風がそう言ったのが聞こえた。
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