さくら、ふくふく。

13/13
前へ
/13ページ
次へ
「いまの声はなんだあ」 大吉がたずねます。 「蒼天様――いちばんえらいかみさまだよ。私、大吉たちを幸せにできる存在になったんだよ!私、これから、大吉たちをたくさん幸せにするね!」 「じゃあ、またいっしょにくらせるのかあ?」 「うん、これからもよろしくね」 「ああ。でもこのおたからは、役所にとどけでないとなあ。ヒルコがいれば家がなくたっていい。ヒルコがそれでだいじょうぶなら」 「いいよ。私が、家をつくってあげる。生まれたばかりで力がうまくつかえないから、人がたてるよりじかんがかかるかもしれないけれど…」 「ありがとう。さ、かえるべ」 大吉が手をさしのべます。 ヒルコはまんめんの笑みでその手をとります。 そのようすをみずのかがみでみていたヒルコのお父さんとお母さんは、なみだをながしてよろこびました。 ヒルコをあわれんだり、ばかにしたかみさまたちは、じぶんたちをはじ、ヒルコやヒルコのお父さん、お母さんのもとにあやまりにおとずれました。 そして、千年ぶりのふくのかみのたんじょうをいわいました。 大吉は、その後、はたらきもののおよめさんをもらい、幸せな一生をおくりました。 あなたがもし今、びんぼうなら、もしかして、ふくのかみのたまごがあなたの家におじゃましているのかもしれません。 あなたが前向きに生きていれば、ふくのかみのたまごはりっぱなふくのかみになって、あなたを幸せにしてくれるでしょう。 どんなときも前向きに! 幸せは、どんなちいさなことにもよろこびを感じる心にやどるものです。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加