0人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
まだ電気がなく、車が走っていなかった時代、ヒルコは、やまのかみ・ミスルと、うみのかみ・ミズコの間に生まれました。
「ミスルさん、ミズコさん、おめでとう。女の子だね。やあ、はじめまして。ぼくは、巨神のウノポノ。きみの、天のかみさまからいただいたお名前は?」
かみさまは、生き物とちがって、生まれたときから人間の大人ができることができ、あらゆるちしきを持っています。
そして、母親のなかにいるときに、いちばんえらいかみさまから名前を告げられます。
それがないかみさまは、ながくいきられないといわれています。(にんげんにも、お母さんのなかにいるとき、いちばんえらいかみさまは、名前を告げてくれています。おぼえているひとはすくないけれど、ひとはみんな、かみさまにしゅくふくされてうまれてくるのです。)
だから、かみさまがこどもを生んだときは、ほかのかみさまは、名前をたずねて、そのなまえをよんであげることで、おいわいするのです。
「ヒルコです」
「ヒルコちゃん、これからよろしくね。きみのみぶんは、次の満月に蒼天さま(いちばんえらいかみさま)が決めてくださるから、それまでは、自由にしていてだいじょうぶだよ」
「はい」
あたらしく生まれたかみさまのみぶんは、親のみぶんをひきつぐのではなく、蒼天が決めるきまりになっているのです。
ヒルコは、どんなかみさまになれるのか、わくわくしながら満月の日をまちました。
最初のコメントを投稿しよう!