さくら、ふくふく。

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大吉の家では、大吉のお母さんが、ばんごはんをこしらえてまっていました。 「あらまあかわいいお客さんだこと。大吉、お友達かい?」 「え?私が見えるの?」 「見えるとも。もしかして、お化けさんかい?大吉はよくお化けさんを連れて来るからなあ」 「お化けではねえみてえだ。何だか家出したみたいでなあ。かえりたくなるまで家にいてもらっていいかなア」 「いいよオ。名前は何ていうんだあ?」 「ヒルコです」 「ヒルコっていやあ、えびすさまのことじゃあねえか。(ヒルコは、日本神話で、イザナキとイザナミの二人のかみさまのあいだに最初に生まれた子供のことで、三歳になっても足が立たなかったため捨てられたのですが、のちに七福神の一人、恵比須さまとしてあがめられるようになりました)めでたい名じゃあ。さあ、あがんなあ。なめこじる、くうかあ」 「はい、いただきます」 かみさまは、たべものをたべなくても死にませんが、人間がくれた食べ物は、ありがたくいただくことになっています。 「こんなものしかなくて、悪いなあ。今日は父ちゃんがりょうにでてて、そろそろかえってくるから、そうしたら、ごちそう、ふるまってやるからなあ」
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