さくら、ふくふく。

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一時間ほどすると、大吉のお父さんがかえってきました。 「なんだあ、お客さんかあ?ずいぶんかわいいお客さんだなア」 お父さんにもヒルコが見えるようです。 「ヒルコです。しばらくお世話になります」 「しばらくって、家のひと心配するべえ」 大吉のお母さんが言いました。 「あまりいたらめいわくですか?」 「いんや、かまわないよ。むすめがほしいとずっと思ってたんでなあ。お父さん、りょうはどうでした?ヒルコちゃんに、はらいっぺえくわせてやりたいんですが」 「おお、タイがいっぺえつれただ。売りもんになんねえのがちょうど4匹いっから、焼いてくうべえ」 タイをたべながら、ヒルコは、これからどうしようとかんがえていました。 このやさしいひとたちを不幸にすることが仕事だなんて、涙がでてきそうです。 しかし、このひとたちとはなれるのがさびしくて、お父さんたちのもとへかえる気もおきませんでした。 びんぼうがみなんかに好かれてしまって、何てかわいそうな家族なんだろう…。 ヒルコは心の中で思いました。
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