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小学校の頃も似たようなものだった。しかし色んな知識が身に付いてきて、だんだん自分の家が嫌いになった。必要最低限の家具や家電しかなく、殺風景。無駄に広くて寒くて、庭には一本の小さな桜の木と、生前母が手掛けていた植木鉢が枯れたまま並んでいる。
それに比べて祖母の家には物珍しいものが沢山あった。季節ごとに変える食器やインテリア。刺繍や編み物に端切れで作ったパッチワークのカバー。庭にはたくさんの花が植えられており、女心をくすぐるものが多かった。
休日は祖父母と出かけることが多く、すっかりおばあちゃんっ子になった私にとって父は「家にあまりいない人」「仕事をしている人」だった。
私たち親子の様子を見かねた祖母は、私たちに交換日記を始めるように勧めた。変哲もないノートを渡され最初は私の番。当時学校ではポケモンが流行っていた。男子だけではなく女子の間でも話題になっており、私も欲しかった。父が財布を握っているのは知っている。
『ニンテンドーDSとポケモンのソフトが欲しいです。』
ただ、それだけを書いて寝た。翌日起きると枕元にノートが置いてあった。早速開いてみると続きにこう書いてあった。
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