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保健室で救護に必要な備品の準備だ。
大きい綿をちぎって
脱脂綿の補充したり、
包帯、ガーゼ、冷却材の管理、
利用者名簿の作成など
今日はこれくらいかな。
雑務だし、
先生にはやらなくていいよと
暇だったらでいいと
言われているから
クラスを抜ける程じゃない。
クラスの女子にも
嫌な顔はされないし平気。
他の子がうまくやってくれる。
だいたい、ああいうの
私は向いてない。
指示には素直に聞いていれば、
文句もいわれない。
日が落ちてきたのか
部屋は少し暗くて落ち着く。
名残惜しいけど
仕事は一段落したし、
教室に戻ってみることにした。
廊下に出ても体育祭一色で、
イケメンな上級生を
みつめる1年女子や
逆に可愛い一年生を見つける変態、
もとおいプロの三年男子もいる。
おい三年、受験勉強しろよ。
運動着姿のもう一人の
保健委員の男子に廊下でばったり会う。
こういう委員会は男女一組という
セオリーがあり、
我が校もそれに従って男女一組だ。
「あ、委員会の仕事やってたの?」
「うん、そっちは?」
「選抜リレーの練習に付き合わされちゃって」
鼻の頭をかいて、
少し恥ずかしそうに笑った。
「でさ、今日帰んない?」
「え、どうしたの。」
「もう暗いし、俺も帰るところだから
女の子が一人夜道は危ない…だろ?」
こういうことを
言える男子がいたとは…。
少女漫画とかだけの世界に
許された男子が、
こういうこと言えると思ってたよ。
実際、目の前の保健委員男子は
運動神経がいい細めの長身。
明るい髪の色をした
バカなくらい正直に
嫌なことも嬉しいことも
顔に出やすい性格。
誰かがこの人のこと、
好きっていってた気がする。
「じゃあ、教室で待っててー!」
そういうと彼は犬がフリスビーを
追いかけるみたいに
嬉しそうに走っていった。
私は軽く手を振っておいた。
「…いぬっぽい」
そう、呟いたのは秘密。
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