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ここはどこなのだろうか何十年、何百年も前からいたような気もするが、たった今来たばかりのような気もする。懐かしさの中に、違和感がある。
深い深い青色。紺と群青の間の色。一面が同じ色だ。僕は目をこすり、この青をよく見る。ぼやけていた視界が次第にはっきりとして来る。だんだん深い深い青色が明るくなる。遠い遠い北の海のような瑠璃色。遠くにほ何かの陰がみえた。高く四角い陰。
──なぜだろう。
僕ほそこに行ってみたいと思った。そこに懐かしさを感じた。
四角い陰はたくさんある。ごちゃごちゃと立ち並んでいる。そこはとても遠いようで、案外近そうだ。
僕は前へ進んだ。
その時、僕は初めて足があることを知った。いや、違う。知ったんじゃない。思い出したんだ。
「僕には足がある。進めるから進むんだ。」
誰かの声がした。誰だろう。中を見回してから思い出した。これは僕の声だってこと。
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