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どのくらい歩いたのか、僕にはもう見当もつかなかった。青い世界は青いままだった。四角い陰は近くなる気配もない。
僕は、考えることを辞めていた僕の頭を使って考えていた。一体ここはどこなのだろうか、と。
答えたは出てこなかった。何か思い出せそうだったのだか、僕の頭の中には霧がかかったままだ。
──ザワザワザワ
何かを揺れ動かすような音。空気が右Kから左へ流れていく。風、だ。
その時、僕の頭の中から霧が消えていった。次々に蘇る記憶。懐かしい街のざわめき。あの人の声。あの時のぬくもり。
そして
───止まってしまった時。
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