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普通のバー…というよりかはダイニングバーといった感じの場所だった。
テーブルや椅子といった家具はピカピカにニスが塗られた木製で統一し、暖かみのある照明が、店内を照らしている。
入り口の前で、どうすればいいか分からなかった俺を、この店のマスターは温かく案内してくれた。
マスターに促されるまま、カウンターの席に着く。
「もしかして、初めてうちに来られたんですか?」
年齢は恐らく40代半ば。
だけど若々しく、そしてダンディーな雰囲気を醸し出すマスターが穏やかな口調で訊いてきた。
「あ、はい。いきなり雨が振りだして雨宿りしようと思ったら偶然ここを知って…。バー自体も初めてなもんで…」
俺の言葉に、マスターはクスクスと笑う。
「そうなんですね。うちの店に来て頂いて大変光栄です。うちは初めての方でも来店しやすいようこういう内装にしているんですよ」
店の内装だけじゃなく、マスターの暖かみにも触れて、沈んでいた俺の気持ちが少しだけ楽になった。
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