問題編

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あれは今から、何年くらい前の話だったかな…………結構前の事だったと思うよ。 その時僕は、今みたいにのんびりしていてね。時々やってくる男の子や女の子に「こんにちは」って挨拶するくらいしか、他人と関わってこなかった。 もっと大勢の仲間達と一緒だったら楽しかったんだろうけどね。あいにく僕はそうじゃなかった。今となっては気にしてないけど。 話がずれた。元に戻そう。 さて、その日も今日みたいに、春らしく暖かい季節だった。暦の上では、まだ3月だったけどね。 その日やって来た子は二人。まぁ、ここに来るのは大体二人組だから、そこはさほど珍しくもなんともなかった。 一人は髪の長い子だった。綺麗な黒髪を丁寧に切り揃えていて、シュッとした切れ長の目が印象的な子だったのを覚えてる。 もう一人は対照的に、髪の短い子だった。どこか落ち着きが無かったから、きっとあの子がここに彼女を誘ったんだと思ったよ。 そしてその予感は当たった。 「さ、さ、さ、咲良!!」 髪の短い子が、髪の長い子に震えながら話しかける。 「なに?アキラ」 咲良と呼ばれたその子は、目の前のアキラの方を振り向いた。 「お…………俺、お前に……………た、頼みがあるんだ……………………」 「頼み?」 いけ!!さぁ言え!!僕は心の中でそう叫んでた。どうしてそうしたのかは分からない。 「お…………………………俺……………………………」 「俺、お前が好きだ!!付き合ってくれ!!」 よし言った!! その瞬間、僕は自分の事のように思って、よく分からない達成感みたいなものまで感じていた。 アキラからの告白を聞いた咲良は、目を見開かせて驚いたあと、俯いて黙ってしまった。 俯いていた時間は、きっと一分にも満たなかっただろうけど、僕らには何時間も経ったように思えた。 そして顔を上げ、再びアキラを見据えた咲良は、ハッキリとこう言った。 「ごめんなさい」って。
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