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「どういうわけか、神界の霊石が心臓に突き刺さってたのよ」 「心臓にっっ!?」 全く予想していなかった言葉を発せられていち早く反応したのは静乃さんの幼馴染みである南雲だった。 「そ、それはどういうことだ!?入院してるときに医者からそんなこと言われなかったぞ!」 「それは当然よぉ。人間には見えない類の物だもの。こんなことって滅多にないんだけど……多分、人間界へ通じる門から落ちた霊石が偶然彼女に刺さっちゃったのねぇ。霊石は神界の至るところに散らばってて地面と同化してるんだけど、神が人間界に降り立つときに一緒に落ちちゃうときがあるの。人間には見えないし、害のある物でもないから問題視してなかったんだけど……」 ふぅとため息をつく百合大三珠神様。 害がないならひとまず安心、とはいかない。だって心臓に突き刺さってるんだよ?どう考えてもヤバいじゃん。 南雲だけでなく俺らも焦りが募る。 「霊石って言っても何の力もないわ。人間界の石ころと同じ感覚よ。ただ、神界の空気を含んだ物だから身体に負荷がかかってるんでしょうねぇ。病弱なのもそれが原因よ」 「じゃあその霊石を取り除けば静乃さんは元気になるんですね?」 「そうなんだけどぉ、困ったことに彼女の身体に同化しちゃってるの。随分前からあの状態だったのねぇ。益々びっくりだわ」 ど……どうしよう。思ってたよりかなり深刻だった。 話を纏めると、静乃さんの心臓に霊石が突き刺さってて、霊石自体にはなんの力もなくて害はないけど、静乃さんの身体に同化してて取り除けない。取り除けないってことは静乃さんの虚弱体質は一生治らない。ずっと心臓に突き刺さったまま。 しかも同化してる霊石を無理矢理引っこ抜くのは心臓を抉り取るのに等しいと言われ成す術なし。今すぐ命に関わるほど大事じゃないのが救いか。 静乃さんの虚弱体質の原因が分かって喜ばしい反面、どうすることもできない現状に歯噛みしている南雲。ずっと静乃さんの病を治したかった南雲にとってこれは辛いだろう。 「……霊石を取り除くのは無理だけど、彼女を健康にする方法ならあるわよぉ」 「っ!本当ですか!?」 「お願いだ、静乃を助けてくれ!僕にできることならなんでもするから……っ」 弾かれるように百合大三珠神様を見て懇願する俺達に、治癒を司る麗しの女神様は悪戯っぽく微笑んだ。 「じゃあ……おつかい、頼まれてくれる?」
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