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「まあまあ、いーんじゃねぇの?お前が真面目すぎなんだよ」
「そうだぞ柳。その堅物なところをいい加減直せ」
「真面目なのはいいが、たまにはハメを外しても良いと思うぞ」
「そーよ柳くん!気にしない気にしない~」
「……こんなの……普通」
「久ヶ島さんの言う通りです。あなたはもっと弾けていいのですよ」
「俺まではっちゃけたらこの集団どうなるんだ」
ツッコミ不在の無法地帯になっちまう。
なので俺がはっちゃける訳にはいかない。という意味をこめて皆を見れば、呆れたようにため息をついたり困った笑みを浮かべたりめんどくさそうに眉をしかめたりと様々な反応が返ってきた。
いやいやその反応どれもおかしいから。皆してボケ担当なんだから一人くらい普通で真っ当な人間がいてもいいでしょ。つーかいないとヤバイだろ。暴走抑止力が一人でもいないと先生達が過労で倒れてしまう。それは可哀想だ。
短いため息とともにリビングの椅子に腰かけて皆を一瞥する。
俺不在の間にテーブルが正方形のものじゃなくて長くて大きいものに変わっていて、椅子が8個あった。ここにいるのは7人。もしかしなくとも誰かが轟木の分も用意しといてくれたんだろう。ちょっと嬉しい。轟木の居場所を作ってくれたように感じるから。
俺が座ったことで各々席につく。自然と男女で別れて着席していた。俺の隣に南雲、その隣に奥ヶ咲、最後に高築。高築の前に白石、奥ヶ咲の前にイオリちゃん、南雲の前に静乃さん、俺の前は空席。
数秒の沈黙の後、南雲が衝撃の台詞を放った。
「このテーブルと椅子、高築が用意したんだぞ」
「そっか、ありがと……って、ええっ!?」
思わず高築を凝視した。するとその視線に気付いた高築は目線を逸らしながら早口で言い訳のようにボソボソ言った。
「勘違いすんなよ。単なる気紛れだ。全員集まれる方が俺にとっちゃ都合が良いってだけだからな。椅子も1つ余分に買っただけだ。絶対勘違いすんなよ」
9:1の割合で高築がツンデレだということが発覚した。
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