そうしてこうなった

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ツンデレのデレがない冷酷野郎だと思ってたのに意外や意外。そっかー、高築はツンデレ男子ってやつなのかー……としみじみ思っていたら殺気を感じた。 「勘違いすんなっつってんだろが」 「スミマセンデシタ」 ツン要素が多すぎるツンデレだ。もうあれだ、99、9:0、1のツンデレさんなんだ。もっとデレて良いのよ高築さん。 とまあ、ふざけるのもここまでにしようか。 椅子に深く座り直し、改めて姿勢を正す。そして誰かが何かを言う前にガバッと頭を下げた。 「心配かけて、迷惑かけて、ごめん」 俺のせいで夏休みがパァになった。俺が連れ去られたことで心配かけた。ここにいる人達だけじゃない、学園関係者みんなに対しての謝罪だ。一人ひとり直接謝りたいけど白石に止められたため、ここで誠心誠意謝罪すると決めた。 「本当に、ごめん」 さらに深く頭を下げる。テーブルに頭がつきそうなくらい下げたところで、首根っこ引っ掴まれて勢いよく頭を上げさせられた。端に座ってる俺の首根っこを引っ掴むことができるのは隣にいる南雲だけ。 南雲の行動に驚いていると、白石が俺に向かって言った。 「謝罪など聞きたくありません。あなたも巻き込まれた側でしょう」 「そーだよ柳くん。そんなことより言うことがあるでしょー?」 「え……、え?」 目を白黒させて静乃さんを見てると他の人も口々に言う。 「……帰って……きたら、言うこと」 「俺にだけ言っても仕方ないだろ柳。皆に言わなきゃ意味がない」 奥ヶ咲にだけ言ったこと、と聞いてピンときた。それと同時に胸の奥がじんと熱くなる。 普段ハチャメチャで暴君で俺を巻き込むことが大好きなくせに、こういうときだけ優しくすんなよなぁ。 ……嬉しいじゃんか。 「………ただいま」 皆の目を順繰りに見て改めて言った言葉に、高築以外の全員が表情を綻ばせた。心なしか高築も柔らかい眼差しで俺を見てる。 「おかえり!」 高築だけは口パクだったけど、全員がそう言ってくれて、俺は今度こそ泣きそうになった。 こうして、俺達の新たな日常は動き出したんだ。
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