崩れゆく日常

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 要約すると、ミラクルスターというアニメには中毒性があり、ミラクルスターを通じて何者かがサブリミナル効果と呼ばれる手法で集団催眠を掛けているということ。  唯一、ミラクルスターを見たことがない、俺だけが皆を救える可能性があること。  そして、瑠璃香はその何者かに命を狙われていたこと。この情報は他言禁止、今後カモフラージュで付き合うことになるけれど、誰が聞いているか分からないからデート中等、うっかり話題に挙げないようにと注意事項が書かれて締めくくられていた。  話が突飛すぎて理解が追いつかないが、これが真実なら辻褄も合う。  しかし、そんなことよりも、俺がもっと早くこの箱を開けていれば、瑠璃香は死ななくて済んだかもしれない事が、俺の心を深く抉った。  読み終えた後、涙が頬を伝うのを感じる。自然に机に置いてある小さなチョコレートに手が伸びて、包みを解く。それを指で摘まんで、口の中へと運んだ。甘さが口の中いっぱいに広がる。それでも、涙は止まることなく流れ続けた。
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